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メスの不妊手術(3)

当院のメスの不妊手術方法は、みなとよこはま動物病院(旧永岡犬猫病院)の永岡理事長が40年ぐらい前から行っていた手術法です。
切開創が小さいのが特徴です。
のら猫の手術において安心してリターンできるし、飼い主のある犬猫においても術後の管理が楽です。
午前中に預けてもらって午後手術し夜の部で帰れます。
犬は歩いて帰れますし(一応車で迎えにきてもらいます)、猫もほぼ日常生活かわりなくその日を過ごせるはずです。

この手術法は以前勤務していた「朝霧獣医科総合病院(明石市)」で伝授されました。
朝霧の院長を含む数名の獣医師が永岡獣医師のところに行っておしえてもらった方法です。
須磨区のわたなべ動物病院も同じ手術法です。
麻酔や他細かいところはそれぞれ独自のやり方でおこなっていると思います。

のら猫の不妊手術をおこなっている獣医師も同じく切開創をできるだけ小さくするようにしているはずです。
そうでないと野外に放すには不安が残ります。
大きくあける手術はのら猫のTNR活動にはむいていません。
傷は小さいにこしたことはありません。捕獲は一度きりと考え、安全な方を選択した方がいいです。
卵巣のみとる手術をうけた猫が後に子宮に膿がたまることもあり、TNR活動ののら猫の手術は卵巣子宮摘出術が望ましいと思います。

教科書にある卵巣子宮摘出術の基本は5cm~10cmくらい切開するようになっています。
(10cmは大型犬でしょう)

この基本の手術法でない方法を模索する何よりの理由というのは、

「切開創を小さくしてなめて傷が開かないようにする」

につきます。

卵巣をとれば発情しないので、できるだけ負担のない卵巣摘出術でいいという説もあります。
これは卵巣子宮摘出術は大きく開ける手術という前提で考えた説です。

卵巣摘出術も卵巣子宮摘出術も同じ大きさの傷なら後のことを考えて子宮も取り出しておいた方がいいと思いませんか。
手術法を工夫する理由は傷を小さくして後のケアを簡単にすることが一番の理由で、他の利点がこれより上にくるということはないはずです。

メスの不妊手術法を大別すると
(猫、小型犬)
①卵巣子宮摘出術ー基本タイプ(切開創5cmくらいで大きく開けるタイプ、もう少し小さいタイプもあると思います)
②卵巣子宮摘出術ー改良タイプ(切開創5mm~1cmくらい)
③卵巣摘出術
④腹腔鏡下手術(3点切開、2点切開、1点切開)

切開創をできるだけ小さく努力した結果が②になります。
①なら傷が小さい③の利点はありますが、②であれば③を選択することもないでしょう。
④は腹腔鏡がないとできませんが、1点切開で卵巣子宮摘出で料金に腹腔鏡代が反映されなければいいでしょう。
3点切開なら②でいいのではないでしょうか。

手術は誰が執刀したか確認しておいた方がいいです。複数の獣医師が勤務している病院や、TNR活動で手術された猫を飼う場合執刀医の名前は把握しておいた方がいいです。後に何かあった時(手術済みなのに発情するなど)にそれが執刀医に伝わった方がいいと思います。伝わることで一日の詰め込みすぎの手術数を控えたり、ルーティンになっていることを再考するようになります。
腹腔鏡下の手術は本来他の用途の使用頻度が低いので不妊手術にも使うようになったと思われますが、熟練した獣医師が担当し手術費用が高くならなければいい手術法です。
人間のように開腹手術だと入院が長くなるけれど腹腔鏡下手術だと早く帰れるというような違いはありません。
動物の不妊手術は開腹手術でも当日歩いて帰れます。

2019-11-27 : 医療 : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
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