がんとの共生
しろひげ在宅診療所の山中光茂院長の話

要約
伊藤信子さん(64歳仮名)のケース
子宮体がんが全身に転移し腹膜播種と呼ばれるお腹の中にもがん細胞が散らばっている状態。余命数ヶ月と宣告されていました。
約1年にわたって抗ガン剤と局所への放射線療法を続けていましたが、病状は悪化しており食事もとれない状態でした。半年で20キロくらいやせてしまった。
激ヤセの原因のひとつは「がん悪液質」のため。
悪液質とは栄養不良により体が衰弱した状態を指す言葉で。心不全、慢性肺疾患などにもみられ、がん患者の60~80%、がん死の20~25%をしめるといわれています。
もうひとつの原因は抗がん剤。
がんを小さくしたいがための抗がん剤が命を縮めることにもなるといいます。
伊東さんのように副作用があまりに強く、食事を取るのがままならない状態での抗がん剤の継続が延命につながるとは限らないのだと言う。
山中医師は抗がん剤に代えて全身の炎症反応を減らし、食欲回復効果を期待してステロイド剤導入を決めました。
結果、2週間後には食欲回復により体重は5キロ増え、2ヶ月後の画像検査でがんが少し縮小していたということです。
余命数ヶ月といわれた伊東さんは、1年以上延命ということです。
獣医療においてもいえることかもしれません。
飼っている動物の仕事は食べてくれることです。
食べてくれれば飼い主は安心します。
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